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(上の記事)
 うれし恥ずかしのプロ初先発だった。「8番・中堅」で出場したスイッチヒッター、4年目の福田は3回1死満塁の絶好機で第2打席が回ってきた。左打席に入り、2番手の梅津が投じた外角高め直球に食らいつくと、打球は左翼ライン内側に落ちて観客席へ。「頭が真っ白。歓声でヒットと分かった」。エンタイトル二塁打でプロ初安打初打点をマークした。

 右打席にも立ち、初先発の試合で3打数1安打2打点。好結果を残したが、赤面するシーンもあった。7回1死二、三塁での守備だ。石原の大飛球に一歩前に出て、あわてて背走したため転んでしまった。内野手登録で、外野守備は2軍で3試合だけという経験の浅さが出た。「追いつける打球だったのに…。大事な場面でやってしまった」。2点二塁打となり、和田が降板するとともに自身も城所と交代。「和田さんに申し訳ない」と反省した。

 1軍戦の出場は今年から。ここまでは代走や代打で6試合に出ただけだった。先発出場が伝えられたのは試合前の昼食時。「一気に緊張した」。長谷川が2軍落ちしたこともあり、ここ数日の試合前フリー打撃で鋭い打球を放っていた21歳を、秋山監督が抜てきした。

 楽天の田中将大や広島の前田健太ら2007年入団の「ハンカチ世代」の1人。中央球界では無名だった東京・多摩大聖ケ丘高3年の春、小川スカウト部長が練習試合を視察した。「左打者と思って見に行ったら実はスイッチ打者。右打席で高校生とは別次元の痛烈な打球を右中間に飛ばしていた。ものが違うと思った」と一目ぼれ。他球団に奪われないよう、あえて3年夏の試合を見ることなく極秘でリストアップし、高校生ドラフト「外れ1位」で獲得した。

 2年前、60歳だった父の徹さんが心筋梗塞(こうそく)で亡くなった。命日は6月16日。23日からの関東遠征で時間があれば、墓前に報告するという。「まだ親孝行したとは言えません」。今後も安打を量産し、亡き父の期待にも応えていくつもりだ。将来性豊かな若タカがプロ人生に一歩を記した。