ムネリンとあこがれ二遊間!福岡ソフトバンクの1巡目、福田秀平内野手(17)=東京・多摩大付聖ケ丘=は、指名会見で「川崎」の名前を連呼した。3年前に川崎がブレークしてからというもの、ホークスの試合をくまなくチェック。「プレー自体が目標。川崎選手に追いつきたい」と目を爛々と輝かせ、将来のコンビ結成を熱望した。大好きな球団、しかも予想もしない1巡目指名とあって、この日は学校中が大騒ぎとなった。 その瞬間、2人は思わず抱き合っていた。新興住宅地のど真ん中、多摩大付聖ケ丘高の校内にある放送室。選択授業の時間ということもあり、食事をしながらテレビのドラフト中継を見ていた福田は、「えーっ!」と仰天して声を震わせた。 「ビックリした。うれしくて…涙が出そうになりました」。隣でテレビを見ていた野球部の杉田監督と熱く抱擁。まさかのホークス、そしてまさかの1巡目指名に、2人の携帯電話はうれしい悲鳴をあげていた。 報道陣もそろわなかったため、指名から2時間半後の午後5時に設定された会見。ようやく実感がわいてきた福田は、あこがれの人の名前を何度も口にした。「目標は川崎選手。川崎選手が試合に出るようになった3年前くらいから、ホークスが好きになった」 高卒、内野、俊足。共通点を見つけてはひそかに喜んでいたが、何もイケメンにひかれるのではない。「細いのにホームランも打てるし、守りも足もすごい。自分とプレースタイルは違うけどすべてが目標です」。将来の“遊撃奪取”に「とんでもない」と首をブンブン振ったが、本音もチラリ。「とにかく追いつきたい。いつか、一緒にやれれば」とウットリと将来に思いをはせた。 高校通算38本塁打。無印の逸材は、今春の本格的なスイッチ転向で開花した。「左投手のスライダーに手が届かない」との理由で、右打ちにも挑戦。進学校ゆえに練習は午後6時まで、グラウンドは他の部と併用と制限されたが、朝6時半に登校し自主特訓。右打ちで初めて出場した5月の試合でいきなり4打数3安打、しかも本塁打の結果を出して、プロへの道を切り開いた。 「プロは一番厳しい世界。今までの10倍、それ以上練習して、将来は3番を打ってみたい」。祝福のメール、電話は約70件。初のプロスポーツ選手輩出に、学校中が大騒ぎだ。期待に彩られた金の卵。未来の大型内野手が、驚きとともに表舞台に飛び出した。 |